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旅のひとときが、
三世代家族の歴史を刻む

義父の退院祝いでどこか旅行に行こうということになり、主人と考えてすぐに松本楼が浮かびました。私たちが結婚して間もなくの頃、主人の両親の提案で、お正月は伊香保でゆっくりしようと、一緒に泊まりに来たのが松本楼との出会いでした。そのときの対応が心地よく、お料理がまたおいしくて。こういう新年もいいものだねと、その年からお正月を松本楼で過ごすことが我が家の恒例行事になりました。

松本楼と言えば展望風呂。女同士でお義母さんと連れ立ってお風呂に行き、初めて背中を流してあげたとき、なんだか嫁姑から母娘になったような気がして、少しずつ言いたいことが言い合える仲になった気がします。長年続けて、もしかしたらこれが嫁姑円満の秘訣かなと思ったこともあります。息子たちが生まれてからは、じぃじとばぁばからのお年玉の贈呈式も加わり、賑やかなお正月を過ごしてきましたが、やがて息子たちがスポーツに熱中し練習が一日も欠かせなくなったため、ある年からお正月は家で迎えるようになりました。

今回は十数年ぶりで、すでに社会人の息子たちも集合し、バリアフリーのスイートルームに泊まりました。以前にはなかったお部屋ですが、隅々に心遣いが感じられ、両親は「帰ってきた感じがする」と懐かしそうでした。若女将が退院祝いにと記念写真を撮ってプレゼントしてくれました。三世代の家族写真も久しぶり。いつの間にか息子たちも結婚するような年になり、今度は私が姑になるのだなぁと思いながら、その日が来るのが楽しみになりました。これからもまた、松本楼は私たち家族の歴史を刻んでいく場所になりそうです。